長崎県平戸市生月町博物館「島の館」

生月学講座 No.054「天気のことわざ」

 お盆を過ぎて涼しい北風(アゴギタ)が吹き始めると、アゴ漁も始まり、アカハラダカの渡り(南下)も見られるようになり、秋本番といった風情になりました。生月の人は、昔から季節の変化を肌で感じていましたが、日々の天気についても様々な現象から変化を感じ取っていましたので天気に関する諺を紹介してみます。

○「朝トンビなら雨降る。夕トンビはひよりびより」(朝方、鳶が飛びながら鳴いているとその日は雨が降るといい、夕方鳴いていると翌日も良い天気だという)

○「烏が田で水浴びして、畦で乾かしよったら雨が降る。木の上で乾かしよったら風が荒らす」(烏が水浴び後、地面で羽根を乾かしたら雨になり、樹上で乾かしたら風が吹く)

○「朝にこがせば雨になる」(朝方に太陽がさんさんと輝くような日は、夕方まで良い天気が保たない)

○「あっからしゅうして降る雨と、涙を出さずに泣く赤子は、泣き止みもせじゃ、降り止みもせん」(明るい天気なのに降る雨は、涙を出さずに泣く赤ちゃんと同じで、いつまでたっても降りやまない)

○「波のごたる雲が出たら雨」(うろこ雲が出たら翌、翌々日は雨になる)

○「月に雨傘、日に日傘」(日が日傘をさしたように光輪が取り巻く事があるが、その時は雨になり、その逆に月に傘がさしたら晴れになる)

○「朝日ノコはその日に時化。夕日ノコは2~3日で時化」(太陽の脇に虹を切ったように光が半円に出ると時化になる)

○「海鳴りのしよるけん時化になる」(海で轟々と音がする時は時化になる)

○「風問答風吹かず、雲問答風の元」(あちこちから風が吹いて来る時は風が弱くなるが、あちこちから雲が来る時は風が強くなる)

○「子丑の時化は、寅卯にかかり、辰巳に上がった試しがない」(子の日丑の日に始まった時化は、七日間ほどは収まらないという)

○「春のキタん風は水の流るるようにくる」(春の北風は、時間が経つほど強くなる)

○「春の夕焼け井手外せ。秋の夕焼け鎌研いで待てろ」(春の夕焼けは翌日が雨になるので、井手(ため池)の水を落としておいても構わないが、秋の夕焼けは翌日が晴れになるので、稲刈りの準備をしておくようにという)

○「梅雨の内に沖バエ、サガリニシが多く吹けば、秋北風が多く吹く」(梅雨の時期に沖バエと呼ばれる南南西の風、サガリニシと呼ばれる南西の風が多く吹けば、秋には北風が多く吹くという)

○「道草の切れ目の数のしこ、台風が来る」(道端にある道草という草に入る切れ目の数だけ、その年台風が来るという)

○「烏が巣ば高いところにかければ風荒さん、低いところにかければ風荒らす」(烏が巣を高いところに作る年は風があまり吹かない。低いところに作る年は風が吹く。蜂の巣でも同様の事を言う)

○「ヤナオの下がったけん時化ぞ」(秋の入道雲の下に、一本線が下がったように見えてくるのは竜巻(ヤナオ、エイノオ)で、これが見えると時化る前兆だという)

○「秋西雨のそこ」(秋にニシ(西風)が吹けば雨が降る)

○「北ん風ののんぼり雨」(北風の時、南から雨が降る時は大雨になり、反対に北から雨が降る場合は風が強くなる)

○「大越の雲ば通すけん風はながんばい」「切れたけん明日凪ばな」(北風が吹く時、お山(安満岳)に出来た雲が、大越(鯛の鼻付近の平らな部分)を越えて流れれば風は強くなり、大越で切れれば凪になる)

○「寒さキタゴチ冷たさアナジ」(冬、キタゴチ(北東風)は吹いても寒さを感じる程度だが、アナジ(北西)が吹くと芯から冷える)

中には迷信めいたものや、本当かどうか分からないものもありますが、多くの諺に、昔の人の自然に対する感覚の深さを感じます。

 




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