長崎県平戸市生月町博物館「島の館」

風止めの願立て・願成就(お水取り)

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 殉教聖地・中江ノ島は、行事に用いる聖水・お水を採取する場所としても重要な場所である。山田集落では、毎年、初夏と晩秋に行う「風止めの願立て」「風止め願成就」行事の際に中江ノ島に渡ってお水取りを行う。しかし壱部、堺目集落では、手持ちのお水が少なくなった時に臨時に中江ノ島渡りをするか、新船祝いで中江ノ島に詣る時にお水取りを行うという。元触集落では、もともとお水は中江ノ島で取らず上場のカワ(湧水)等で取っていた。
 山田集落の風止めの願立ての行事は田植え頃に、風止め願成就の行事は秋の収穫後に行われる。前者は稲に害をなす大風を避ける祈願のため、後者は風の害を避けられた事を感謝する願成就のための行事であり、御爺役、親父役が集って行う三触寄りの行事である。
 朝、農協支所の会議室に集合し、舘浦港から大敷網の船に乗って中江ノ島に渡る。
 行きがけの船の中で半座のオラショを唱え、島の前で櫓漕ぎの伝馬船に乗り換えて上陸する。祭場である断崖の裂け目の前に着くと、蝋燭を立てて供物を供え、水がしみ出しそうな岩の裂け目に茅の茎を刺し、反対の端を一升瓶の口に入れてお水を受ける。準備がすむと一同は石浜の上に正座し、一座のオラショを唱える。唱え終わるとオゴク(御飯)やスルメをいただき、瓶にたまったお水を回収して戻る。舘浦に上陸すると二手に分かれ、旋網会社の事務所や社長宅に取った宿で一座のオラショを唱える。唱え終わると殉教地の千人塚と、比売神社下の恵比須様に供物を上げ、宿に戻って昼食をいただく。午後には御爺役、親父役らの中から決めた宿に移る。座敷の中央に蝋燭を立て、そのまわりに車座に座って一座のオラショを唱える。その後の宴席では、唄オラショ「サンジュワン様の唄」「ダンジク様の唄」やヨイヤサが唄われる。 
 壱部集落のお水取りも基本的に同じだが、船の中で唱えるオラショはエレンジャ祓い(異教徒が一緒なのを許して貰う)だという。また持ち帰った水は、人間のお授け(洗礼)と同様の行事を行って魂を込めなければならないという。

 

2019/12/17




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